▶シニアのためのスマホ超入門講座「第7話 スマホにも戸締まりが必要だ」

第7話 スマホにも戸締まりが必要だ
情報漏えいやハッキングのニュースが流れることがあります。つい最近も、電子マネーで銀行口座から不正にお金を引き出されたというニュースが流れていました。毎日、ネットを便利に使っていても何の問題もないので自分には関係ないと思われていませんか。そこで、今回はパソコンやスマホのセキュリティについてお話したいと思います。

1980年代の終りの頃は電子メールを使っていた人は非常に少なく、パソコンやネットワークに詳しい人に限られていました。電子メールには、みんな署名を入れて住所や電話番号を公開していましたが何も問題はありませんでした。

そもそも、インターネットは、技術者や研究者の情報交換のために構築されたものですので、悪いことをする人はいないという前提で設計されていました。インターネットの前身のJUNETは、主要な大学の大型計算機センターにも繋がっていて、悪いことをやろうと思えば入り込んで何でもできた時代でした。

1990年代に入ると、マックやWindowsが出てきて、テキストだけでなく、写真や動画、音声を扱うことができるようになりマルチメディアという言葉が使われ始めました。CD-ROMを内蔵したFM TOWNSのようなマルチメディアパソコンというものが販売されたのもこの頃です。

ちょうどこの頃に、何やら、ヨーロッパのどこかで、WWWというものが開発されたという情報が電子メールを通じて入ってきました。とにかく凄いものらしいというだけで、Webの蜘蛛の巣という名前も奇妙で何だか分かりませんでした。大昔に中国から麒麟のうわさが入ってきた時のような騒ぎでした。

1993年に、MOSAICという今のIEやChromeの先祖のようなブラウザが出てきて、WWWはホームページと呼ばれるようになり、ようやく何たるかを理解出来ました。MOSAICは、二十歳そこそこのマーク・アンドリーセンという若者が作ったということでも話題になりました。その後、MOSAICはNetScape Navigaterという名前になり普及し、Firefoxに技術が継承されています。1995年に、Windows95が出てきて、WWWは一気にメジャーになりました。Windows95には、やはりMOSAICを改良しいたInternet Explorer(IE)というブラウザがバンドルされていました。

私もHTMLという言語を勉強して、ホームページを作ってみました。その頃は、Googleなどの検索エンジンがなかったのでホームページを作っても見てくれる人が全くいないという状況が数年続きました。その後、GoogleやYAHOOなどの検索エンジンが出てきてインターネットは本格的に普通の人でも使えるようになりました。

ホームページとブラウザ、検索エンジンがインターネットのパンドラの箱を開けてしまいました。インターネットは、一部の技術者のツールでなく、普通の人が使う便利な道具として急速に普及しました。

2000年代になり、次々に公的なホームページがたちあがってきました。そこで最初のハッキング被害が出ました。中央省庁のホームページ改ざん事件です。科技庁のHPがわいせつ画面に書き換えられる事件から始まって総務庁統計局、運輸省、人事院近畿事務局などのホームページが短期間に次々と書き換えられました。

当時は、今では常識となっている外部からの侵入を防ぐファイアウォール(防火壁)という仕組みも入っていないところが多く、パスワードもごく簡単なものが使われていました。誰がハッキングを行ったのかは明らかになっていませんが、改ざんして世間を騒がせることが目的の愉快犯や政治的なプロパガンダではないかと言われています。

その後、インターネットは、お金のやりとりに使われるようになりました。商取引は最もネット化がやりやすい分野です。数字のやりとりはコンピュータが最も得意とする領域だからです。今は、アマゾンのように自分で商品を検索して購入することが簡単に出来るようになりました。電子マネーなども普及し銀行がネットにつながり買い物が便利になりました。ネット上で莫大なお金が動くようになりました。

犯罪組織がここに目をつけないわけはありません。オレオレ詐欺のようなリアルな詐欺を行ってきた人たちがハッカーの力を借りてネット犯罪に参入しました。ネットは世界中につながっていますので世界規模の犯罪組織も確認されています。ネットで起こった大きな事件は次のようになります。

・2014年7月に、通信教育の大手企業から3504万件に及ぶ個人情報がシステム要員により持ち出され流出しました。
・2015年5月、日本年金機構に対し外部から「標的型攻撃メール」が送られ125万人分の個人情報が漏洩しました。
・2016年5月に東京や大阪、愛知など17都府県のATMから南アフリカの銀行から漏れた情報を元にして約18億6千万円が引き出されました。

事件は、ますます大規模化して悪質になっています。このような犯罪には、特殊詐欺詐欺のグループや反社会勢力の人たちが関わっていると言われています。

それでは、私たちはどうすれば良いのでしょうか。

空き巣被害の4割以上が鍵のかけ忘れと言われています。ネットの世界では、鍵に代わるものはパスワードです。安易なパスワードはすぐに破られます。以前は、パスワードを定期的に変更することが安全とされてきましたが安易なパスワードになりがちなので、強固なパスワードを設定して厳重に管理して使うのが安全と言われています。

安全なパスワードとはこのようなパスワードです。
<y1!A:sJ?%&fe>
私は、覚えられないので、パスワードのメモを定期入れに入れて持ち歩いています。

パスワードを盗むためにハッカーはいろいろな手段で攻撃を仕掛けてきます。「アマゾンですが、お使いのキャッシュカードのパスワードが確認できないのでもう一度入力してください」「宅急便の再配達がありますので、ここをクリックして内容を確認して下さい」「メールのパスワードが漏洩していますので入れ直してください」など全てウソのメールです。気をつけてください。メールに添付ファイルがついていたりリンクがあったりする場合は注意してください。すぐに開かずに一呼吸して冷静にメールの内容をチェックしてください。

アマゾンには、「AMAZONメッセージセンター」というサイトがあります。アマゾンからの正式なメッセージは、全てここに書かれています。ここに書かれていないメールは全てウソのメールであることが分かります。

次に大切なことは、パソコンやスマホのOSを常に最新のものにしておくことです。ハッカーは、常にセキュリティホールを探しています。そこを狙って攻撃を仕掛けてきます。ベンダがOSのアップデートを行うのは、機能追加以外にセキュリティホールを塞ぐためでもあるのです。

コンピュータウイルスを撃退するアンチウイルスソフトをインストールしておくことも重要です。これは、インフルエンザのワクチンと同じようなものです。ワクチンも、A型用、B型用などがありますが、アンチウイルスソフトにも定義ファイルというものがあり、最新にしておく必要があります。

ソフトのインストールにも気をつける必要があります。ネットの中には、悪意を持って作られたソフトがたくさんあります。一度インストールしてしまうと広告が止めどなく出てくるものや、キーボード入力を盗み見するものや法外な使用料を請求してくるものなどがあります。iPhoneの場合はApp Store、Androidの場合はGoogle Playからインストールしてください。特にゲームソフトなどは危険です。

インターネットで買い物をしたり、電子マネーで支払ったりするのは便利です。でも、その便利さの裏には危険があることを常に考えておいてください。私は大した情報を持っていないので狙われないということは通用しません。犯罪者は無作為に獲物を狙っています。今の世の中でネットに完全に関わらずに生きることは難しいです。世界にはいろいろな人がいることを考えて、用心をしながらネットと付き合っていってください。最後に、インターネットの光と影の話をして終わりたいと思います。

【インターネットの光の部分と⇒影の部分】
・コピーをしても情報が劣化しない⇒コピーして盗みやすくデータの利用が簡単にできる
・データの作成や修正が簡単にできる⇒証拠を残さずに容易にデータを改ざんできる
・ネットワークを通して何処へでも送れる⇒世界の何処からでもネット経由で盗み出せる
・一瞬のうちに大量の情報を扱える⇒一瞬のうちに大量の情報を盗み出せる
・どこからでもログインして操作できる⇒パスワードが分かれば誰でも不正に操作できる
・世界中の人たちとつながることができる⇒世界中のハッカーに狙われている
・情報は目に見えなくて場所をとらない⇒盗まれたことが分からない
・記憶媒体が大容量でコンパクトになっている⇒一度に大量の情報を容易に持ち出せる
・個人でも情報の発信が可能である⇒デマやフェイクニュースが蔓延する
・ネットではいろいろな人と知り合える⇒知らない人に騙されて誘拐や犯罪に巻き込まれる

1)ウイルス感染した時の症状
・パソコンの起動や処理速度が遅くなる
・ハードディスクがフォーマットされ、パソコンが起動しなくなる
・ワードやエクセルなどのアプリが使えなくなる 
・画面上に意味不明なメッセージや、画像が表示される 
・勝手にパソコンの中にあるデータを無作為の配布してしまう  
・悪意ある第三者がパソコンに侵入し、情報を盗まれる  

2)ウイルス感染しないための注意事項
・ウィルス対策ソフトを導入する ⇒ 導入済み
・ウィルス対策ソフトのパターンファイルを常に最新版にする
・Windows10のアップデート(Windowsアップデート)を行う
・知らない人からのメールは開かないで削除する
・アマゾンや楽天からの、本物そっくりの詐欺メールが多いので注意する
・怪しげなホームページは開かない
・FacebookやLINEで送られてくる画像などにもウイルスが入っていることがあるので安易に開かない
・知っている人から送られてきた場合もなりすましがあるので注意する
・送信元が不明なメールに記載されたURLをクリックしない、添付ファイルを開かない
・USBメモリ、CD-R、DVD-R、外付けのハードディスクなどを開かない
・どうしても開きたい場合は、ウィルスチェックを行ってから開く
・Facebook、LINE、Gmail、アマゾン、銀行、ATMなどのサービスでは簡単なパスワードは使わない
・複雑なパスワードを作るサイト https://www.graviness.com/app/pwg/
・同じパスワードの使い回しをしない

3)感染が疑われる場合
・情報漏えいしないように、LANケーブルを抜く、Wifiを切るなどしてネットワークから物理的に隔離する
・ウィルス対策ソフトでウイルスを駆除する
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【シニアのためのスマホ超入門講座】
第1話 ネット社会はどのようにして出来たか
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2020/08/07/no1/
第2話 インターネットの始まりはきな臭い
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2020/08/09/no2/
第3話 コンピュータが丸ビルから手のひらの大きさになるまで
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2020/08/16/no3/
第4話 スマホはひとりの若者の夢想から始まった
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2020/08/30/no4/
第5話 スマホとパソコンはどう違うの?
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2020/09/05/no5/
第6話 スマホやパソコンの使い方の極意
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2020/09/08/no6/
第7話 スマホにも戸締まりが必要だ
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2020/09/12/no7/
第8話 スマホはこんなに便利
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2020/10/10/no8/
第9話 Facebookのススメ
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2020/12/26/facebook/
第10話 サイバーセキュリティのお話
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2021/03/20/taisaku/
第11話 パソコンやインターネットを生み出したカウンターカルチャー
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2021/06/26/culture/
第12話 ビデオ会議システム「Zoom」のお話
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2021/07/08/zoom/

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