▶シニアのためのスマホ超入門講座「第5話 スマホとパソコンはどう違うの?」

第5話 スマホとパソコンはどう違うの?

スマホもパソコンもノイマンという人が考えた自動的に計算する機械、電子計算機が発展したものです。”パソコンは ソフトなければ ただの箱”という川柳があるようにメモリーに記憶されたソフトウエアが全ての装置のコントロールをします。パソコンを構成するCPUやメモリー、ディスプレイなどは、形があるのでハードウエア、それをコントロールするプログラムは、目に見えなくてとらえどころがないのでソフトウエアと呼ばれています。

コンピュータが解釈できる"111110110011011100100011110110"などのデジタルコードは、人間にとっては、ちんぷんかんぷんでサッパリ分かりません。オペレーティングシステムがない頃は、プログラムを開発する人が、このコードを直接いじっている時期がありました。2進数では分かりにくいので”3E CD 32 00 01 76”などの16進数に変換して扱っていました。これを機械語と呼んでいました。

その後、機械語に一対一に対応した”ADD X,Y”のように記述するアセンブリ言語のニーモニックというものが使われました。これは、XとYを足せ、という意味です。私が始めて組んだプログラムはこれでした。アセンブラというプログラムを通すと装置が解釈できる機械語に翻訳してくれました。これが、発展して英語のように自然言語に近いプログラム言語であるBASIC、FORTRANやCOBOL、C言語などの様々な言語が作られました。最も初歩的なBASICのプログラムはこんな感じです。”IF X = 3 THEN GOTO 40” Xが3だったら40番地に飛べ、というような意味です。機械語に比べたら格段に分かりやすくなりました。パソコン用のBASICを最初に作ったのがマイクロソフトのビル・ゲイツです。

このような言語が開発されても、プログラムを開発する時に、”キーボードから文字を読み込んで、計算して画面に表示せよ”という同じような命令をその都度書くのは面倒でした。そこで、キーボード入力、計算、画面出力などの決まりきったハードウエアをコントロールするソフトウエアは、専門のプログラムに任せたらどうかというアイデアが出てきました。この画面出力などの基本動作を専門に行うプログラムがオペレーティングシステムです。

スマホとパソコンの心臓部のCPUやデータを記憶するメモリー、演算結果を表示するディスプレイなどのハードウエアはほとんど同じです。何が違うのかというと、オペレーティングシステム(OS)というソフトウエアが違うのです。オペレーティングシステムというのは、機械を意識しないで人間がコンピュータを扱えるようにして機械と人間の仲介をしてくれるプログラムです。オペレーティングには、コンピュータを管理するとか操縦するという意味があります。

パソコンには、様々なオペレーティングシステムが開発されましたが、爆発的に普及したのは、1981年にマイクロソフトがIBMからの依頼で作ったMS-DOSというOSでした。MicroSoft Disc Operating Systemの略です。パソコンが出始めた頃には、たくさんのメーカーがパソコンを作っていました。メーカーごとにオペレーティングシステムを作るのは大変なので、ほとんどのメーカーがマイクロソフトにオペレーティングシステムの作成を外注していました。その結果、プログラムを組む人は、MS-DOSを使うことでメーカーの違いを意識しないでプログラムを組むことができるようになりました。しばらくすると、パソコン業界では、ハードウエアよりもオペレーティングシステムの方が重要な地位を占めるようになりました。

実は、オペレーティングシステムは、マイクロソフトだけが作っていた訳ではありません。MS-DOSよりもっと前に、電話を発明したグラハム・ベルが作ったAT&Tのベル研究所というところで、1973年にUNIXというOSが開発されていました。UNIXの歴史は古く、1960年代に開発されたMulticsmultiplexed information and computing service)に起源を持つ本格的なオペレーティングシステムでした。UNIXは、通信会社が開発しただけあって、今のインターネットの通信機能がほとんど盛り込まれていました。今のインターネットを構成するサーバやルータという機器に使われているOSは、ほとんどがUNIXです。インターネットはUNIXで出来ていると言っても過言ではありません。その後、UNIXは、Linuxと名前を代えて、誰でも無料で使うことができるオープンソースというライセンス形態で広まりました。Linuxは、Windowsのように特定の会社が所有しているものでなく、ネット社会の共有物のようなものです。

アップルも、マックを開発した時に、1984年にMacOSというオペレーティングシステムを開発しました。MacOSは、マウスやウインドウを操作できるもので、キーボードからのテキスト入力しかできなかったMS-DOSとは一線を画したものでした。マイクロソフトは、MacOSをモデルにして今のWindowsを開発しました。1995年に大々的に発表されたWiodows95で一気に広まりました。MacOSは、今ではコアの部分はUNIXとなっています。WindowsもUNIXの機能を取り込んでいます。

スマホには、LinuxをGoogleがカスタマイズしたAndroidと、MacOSを改良したiOSがオペレーティングシステムとして使われています。Androidのハードウエアは、サムスンやソニー、富士通など様々な会社が作っています。アップルだけは、オペレーティングシステムとハードウエアを両方自社で作っています。スマホはパソコンからキーボードを切り離してタッチパネルを付けたもので、中身は、ほとんど同じです。スマホやタブレットにキーボードを付ければ立派なパソコンになります。

【シニアのためのスマホ超入門講座】
第1話 ネット社会はどのようにして出来たか
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第2話 インターネットの始まりはきな臭い
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第3話 コンピュータが丸ビルから手のひらの大きさになるまで
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第4話 スマホはひとりの若者の夢想から始まった
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第5話 スマホとパソコンはどう違うの?
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第6話 スマホやパソコンの使い方の極意
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第7話 スマホにも戸締まりが必要だ
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第9話 Facebookのススメ
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第10話 サイバーセキュリティのお話
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第11話 パソコンやインターネットを生み出したカウンターカルチャー
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第12話 ビデオ会議システム「Zoom」のお話
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