▶六浦西地区 2025年度 第75回 社明大会の報告

1.日時:2025年9月6日(土)14:00~16:15
2.場所:六浦地区センター 2階 体育室(https://www.chikusen.ne.jp/mutsuura/access/)
3.内容 :
<講演> 特殊詐欺と闇バイトの最新動向
~被害者にならない加害者にしないために私たちができること~
<講師> 金沢警察署 生活安全課 警部 笹木裕之様
<プロフィール>
金沢警察署の生活安全課でストーカーや特殊詐欺、少年非行などの防止に取り組み、地域住民の安全と安心を守るためにご尽力されています。
4.参加者:来場者81名(Zoom参加者5名)
保護司、更生保護女性会員、民生委員・児童委員、主任児童委員、近隣の小学校や中学校のPTA、学校長、専任教諭、シニアクラブ、六浦西地区社協、金沢区社協など
【ご講演の要約】
特殊詐欺は今、全国的に急増しています。令和7年の上半期だけで、全国の被害は約13,000件、金額は約600億円に達しました。1日あたり約3億円以上が奪われている計算になります。
神奈川県でも被害は深刻で、令和6年には過去最高の66億円、令和7年9月末時点ではすでに88億円を超えています。令和7年9月末の金沢区の被害額は、約3億5,600万円で、昨年と比較し約2億1,000万円増えており、件数、被害額ともに増加しています。
中でも最近急増しているのが「警察官かたりのオレオレ詐欺」です。「あなたは共犯で捜査対象」「LINEでやり取りを」と不安をあおり、最終的には口座に全額送金させます。覚えておいてください。警察はLINEを使いません。お金を要求しません。画像で逮捕状を見せることも絶対にありません。
■ 被害防止には、
① 手口を知る
② 国際電話を遮断する
③ 迷惑電話防止機能付き電話を使う
この3つが特に効果的です。
また、SNS型投資詐欺やロマンス詐欺も急増しています。「必ず儲かる」「個人口座への振り込み」はすべて詐欺を疑ってください。
闇バイトも注意が必要です。「高収入・簡単」は犯罪の入り口です。
少しでもおかしいと感じたら、すぐに金沢警察署へご相談ください。今日のお話を、ぜひご家族やご近所の方にも伝えてください。
■ 情報入手先
・県警公式アプリ 「かながわポリス」
https://www.police.pref.kanagawa.jp/about_kpp/koho/sns/app.html
・ピーガルくん安全メール
https://www.police.pref.kanagawa.jp/kurashi/kodomo_jyosei/mesd5010.html
・金沢警察署公式「X」
https://x.com/kanazawa_police
■ 相談先
金沢警察署 生活安全課
045-782-0110
【ご講演の感想とまとめ】
たいへん有意義なお話を伺いました。特殊詐欺は高齢者の心理的弱点へ付け込みます。詐欺手口の巧妙化、デジタルの利便性の悪用が主な理由です。家庭・地域・学校・企業・警察が協力して特殊詐欺から身を守ることが重要だと感じました。犯罪者とのいたちごっこは続きます。日頃の情報収集で知識を増やして、常に騙されないという意識が重要だと思いました。ご講演をお聴きして、私たちができる対策を考えてみました。
- 家庭でできる対策
・固定電話に自動録音・迷惑電話防止機能付きの電話機をつける。
・国際電話がかからないように対策をしておく。
・家族間で「お金の話は電話では絶対にしない」というルールを作る。
・本人確認の合言葉を決めておき電話がかかってきたら必ず本人かどうか確かめる。 - 地域ぐるみの対策
・民生委員とタイアップして高齢者宅にチラシを配布する。
・町内会の例会などで繰り返し注意喚起をする。
・宅配業者や郵便局、銀行、コンビニの従業員の人に「不自然な大金引き出し」や「電子マネー大量購入」を見たら声掛けをしてもらう。
・銀行やコンビニのATMで携帯を使って操作している人を見たら声をかける。 - 学校や家庭でのデジタル教育の強化
・子どもたちにもSNS詐欺の構造や手口を教える。
・闇バイトという誘いがあることを子どもたちに教える。
・架空請求やフィッシングを実例で学ぶ授業を実施する。
・特殊詐欺を少なくするにはどうしたら良いかを子どもたちに考えてもらう。
・地域でもSNS詐欺の構造や手口、経験談などの講習会を実施する。 - メディアやHPによる情報発信
・地域の新聞やホームぺージで最新の手口や被害の実例を公開する。
・銀行のATMやコンビニのレジ画面で「特殊詐欺注意」表示を促進する。
・子どもたちに特殊詐欺防止のポスターを描いてもらいATMなどに掲示する。
【参加者のご意見】
講演終了後のアンケートで下記のようなご意見をいただきました。
(質問)
加害者や被害者となってしまった子どもたちに寄り添うためにはどうしたらよいと思いますか?
■子どもたちとのコミュニケーション
・子どもたちからよく話を聞いて相談に乗る
・会話をする。まず話を聞いてあげる
・日頃のコミュニケーションが大事
・日頃から身近にいろいろな詐欺があることを話し合う
・普段からの人間関係を大切にする
■子どもたちの心のケア
・子どもたちの心のケアを心掛ける
・日頃から不安を和らげる
・子どもたちが孤立しないよう見守る
・責めるのではなく、何が足りなかったのか、何が必要なのか一緒に考える
・目を向け、耳を傾ける
■専門機関の支援
・地元の警察に連絡して、指導してもらう
・とにかく警察に連絡
・友人、知人関係を整理できるアドバイスが受けられるよう専門機関につなげる
・そうなってしまう背景を把握し、必要な支援を考える
■地域との協力
・地域で見守る
・地域と学校で協力しあって、日頃から子どもたちの支援ができるようにしていきたい
・信頼できる人がいるようにすること
・子どもたちがいつでも集える場所、相談できる大人の存在を伝える
■要望
・専門性の高い区職員の準備が必要
・子どもたちがSOSを出しやすい環境をつくる
・気軽に相談できるところを知りたい
・顔の見える関係作りが必要
【ご講演の詳細】
詳しくは、こちらをお読みください。
1.全国における特殊詐欺の 発生状況について
特殊詐欺が増えています。注意が必要です。

■ 令和7年上半期における全国の被害について
・件数 13,213件 (+4,256件) 1日平均72.6件
・被害額 約597.3億円(+約369億円) 1日平均約3億2,820万円
■ 令和7年上半期における全国の被害について
1位 東京都(2,165件、627 ↑)
2位 大阪府(1,626件、333 ↑)
3位 神奈川県(1,134件、303 ↑)
4位 兵庫県(960件、361 ↑)
5位 愛知県(914件、251 ↑)
埼玉、福岡、千葉と続き、大都市圏で約67%を占める。
■ 罪種別の犯罪(上位のみ)
・自転車盗
・万引き
・詐欺(特殊詐欺・詐欺)
・窃盗(その他)→置き配
・オートバイ等
・器物損壊等
2.神奈川県内における特殊詐欺の発生状況について
■ 令和6年中の神奈川県の被害
・件数 1,999件
・被害額 約66億6,000万円
・被害額は、平成16年の統計開始以降、 過去最高値!
■ 令和7年9月末の神奈川県の被害
・件数 1,766件(前年同期比+403件)
・被害額 約88億4,900万円
・昨年と比較し、件数、被害額は急増!
3.金沢区内における特殊詐欺の発生状況について
■ 令和6年の金沢区の被害
・件数 68件(前年同期比-31件)
・被害額約2億600万円
■ 令和7年9月末の金沢区の被害
・件数 68件(前年同期比+24件)
・被害額 約3億5,600万円
(前年同期比+約2億1,000万円 昨年と比較し、件数、被害額は急増!)
4.特殊詐欺の手口と対策について
■ オレオレ詐欺(息子や孫を装う)
かたりの手口の例
・息子や孫といった親族→会社の金を使い込んだ、妊娠、不倫、株や暗号資産の手数料等
・病院関係者→「あなたの子供が救急搬送された」
・暴力団関係者→ 「お宅の娘が親分の車にぶつけた」
・金融機関、税務署職員→ 「キャッシュカードの更新手数料」等
■ オレオレ詐欺(警察官かたり) ⇒ この詐欺が最近増えています。
・特殊詐欺の約5割がオレオレ詐欺
・オレオレ詐欺の約7割が ニセ警察詐欺
・オレオレ詐欺(警察官かたり)の特徴として、特殊詐欺の被害者は、60代以上の高齢者がほとんどであったが若い世代(20代)でも被害が増えている。

【被疑者の文言集】
① 地方の警察を騙る(定番)
○〇警察です。特殊詐欺の犯人を逮捕したところ、あなた名義のキャッシュカードを持っていた。あなたを共犯として捜査している。
② 地方の警察を騙る(定番)
○〇警察です。あなたを共犯として捜査している。今すぐに○〇警察に出頭してほしい。できなければ、捜査を進め逮捕する。出頭できないというとLINEのやり取りを迫られる。これが詐欺師の狙い。
③ 自動音声(通信事業者)
こちらは○〇です。あなたの携帯電話は警察からの指示により2時間後に通話できなくなります。1を押して詳細を問い合わせてください。⇒ ニセ警察につながる
■ だましの流れ
・犯人からの電話
・被疑者として捜査していると言われる
・LINEにつなぐように指示される
・LINEで警察手帳や逮捕状を見せられる
・捜査と称しインターネットバンキングで口座を作らせる
・持っている金を全て口座に送金するように指示される
■ 3月14日のテレビ等の報道によると・・・
・警視庁新宿警察署の電話番号により、首都圏において特殊詐欺と思われる不審な電話を多数認知した。
・逗子警察署管内において、神奈川県 運転免許センターからの架電を多く認知した。運転免許センターでは、架電した履歴はない。
■ 警察官かたりを見破るポイント
・警察官は業務でメールやLINEは絶対に使わない!
・警察官がメッセージアプリで 逮捕状、警察手帳を提示することは絶対にない!
・警察官が 捜査と称してお金を要求することは絶対にない!
・警察からの電話で警察官を名乗っても自分で調べた警察署の番号に折り返す!
・事前に逮捕するとは通告しない。逮捕する時は有無を言わさず捕まえる!
■ 被害防止対策
(1) 手口を知る
オレオレ詐欺やキャッシュカードをだまし取る詐欺など、手口は様々ありますが、まずは「手口を知る」ことが重要です。手口は日々、悪質化、巧妙化しています。「特殊詐欺に関するアンテナ」を高くし、意識を向けることが重要です。
(2) 国際電話不取扱受付センターで対策
特殊詐欺のほとんどが、自宅固定電話に かかってきます。また、最近のだましの電話は、「+1」や「+44」といった、国際電話が使用されています。固定電話の契約者が、申請をすれば国際電話からの着信を拒否することができます。
※ 国際電話不取扱受付センター 0120-210-364

(3) 固定電話での迷惑電話対策
特殊詐欺のほとんどが、自宅の固定電話にかかってきます。迷惑電話防止機能付き電話機が効果があります。
犯人から着信→(着信音が鳴る前に)「この電話は、特殊詐欺などの犯罪 被害防止のため、会話内容が自動録言されます。」 (犯人は声の録音を嫌う)→犯人自ら、電話を切る。
(4) 携帯電話対策
・NTTドコモ:迷惑電話ストップサービスを利用する。
・au:迷惑メッセージ・電話ブロックアプリで一括拒否が可能。
・ソフトバンク:キャリアサービスに着信の拒否として個別の暗号を登録する。
※携帯電話への国際電話着信拒否については、携帯キャリアにより利用できるサービスが異なるため、各キャリアに問い合わせてください。
5.特殊詐欺ではないけれども 知っておいてほしいこと
SNS型投資、ロマンス詐欺をご存じですか?
【SNS型投資詐欺】
投資をすれば利益が得られるものと誤信させ、投資アプリに誘導したり、利益を表示し安心感を与え、投資金名目や出金手数料名目で金銭を振り込ませるもの。
【SNS型ロマンス詐欺】
恋愛感情や親近感を抱かせながら投資や交際費や渡航費等の名目で金銭を振り込ませるもの。

■ 令和7年9月末の神奈川県の投資ロマンス詐欺の被害
投資ロマンス詐欺は、件数は少ないが被害額が大きい。
・特殊詐欺件数 1,766件 被害額 約88億4,900万円
↓
・投資ロマンス詐欺件数 508件 被害額 約90億8,900万円
■ SNS型投資詐欺の手口
①SNS等の広告を見つける
SNSや、パソコンのウェブサイトで投資に興味を持つ。
②広告をクリックする
グループトークに参加しませんかなどと勧誘される。
③グループで投資情報の共有
「先生のおかげで、数百万の利益を得ることができました。ありがとうございます。」 などと「投資の先生」を称賛するコメントが多数書き込まれる。
④投資サイトを紹介される
先生から、高確率で利益を上げられる「投資アプリ」「投資サイト」を紹介される。
⑤投資名目で指定口座に入金
「口座担当者」 「アシスタント」などから投資名目で 個人名の口座に、お金を送金するよう指示される。
⑥利益還元で信用してしまう
試しに○万円振り込んだところ、「利益が出た」と〇〇万円が口座に振り込まれ、 投資の先生を信用してしまう。
⑦投資を信じて送金を繰り返す
投資を信じて、送金を繰り返す。投資アプリ・投資サイトでは、利益が上がり続ける。
⑧引き出そうとしても引き出せない
相手からは 「引き出すには、手数料がかかる」 などと言われる。
⑨投資サイトが突然閉鎖される
■ SNS型ロマンス詐欺の手口
①マッチングアプリやダイレクトメッセージ
マッチングアプリやSNSのダイレクト メッセージで連絡を取り合う。
②最初は、他愛もない話 (1週間~半年)
日常生活や趣味、悩みなど、他愛もない会話により、親近感や恋愛感情を持つ。
③投資や開業資金、渡航費用などを要求される
相手から「実は、投資で儲けている」 「結婚のための費用が必要」「私の叔母が投資に詳しい」「新しい仕事を始める」などと、投資や仕事の開業資金、交際費等を要求される。
④さらに金銭を要求される
送金等をすると追加投資を求められたり、手続きに必要と称して多額の金銭を要求される。
⑤突然、連絡が取れなくなる
■ 被害にあわないためのポイント
① SNS、投資広告、マッチングアプリを介して知り合った人から、投資名目でSNS等に誘われたら詐欺を疑う。
② 投資する際、振込先口座が個人口座であれば、詐欺を疑う。
③ 「必ず儲かる」「投資に詳しい人を紹介」は詐欺を疑う。
④ 投資の内容や紹介された投資アプリ・投資サイトが堅実なものか、インターネットで確認する。
■ 闇バイトの注意
近年、SNSなどで「高収入」「誰でもできる」と誘う闇バイトが増えています。その多くは特殊詐欺や強盗などの犯罪に巻き込む危険な誘いです。安易に応募せず、不審な募集には決して近づかないようご注意ください。
(1)闇バイトの仕事内容
簡単な高収入の仕事だと偽って勧誘する。
・特殊詐欺の「受け子」「出し子」
・薬物・現金の移動
・侵入や強盗の下見・運転手など
(2)SNSで誘われた時の注意
・どんなに魅力的に見えても絶対に応募しない
・「おかしい」と感じたらすぐに画面を閉じる
・家族や先生、信頼できる大人に相談する
・おかしいと思ったら警察に迷わず電話する

6.知識と意識
特殊詐欺に遭わないためには、最新の知識と詐欺を疑う意識が必要です。下記のサイトやアプリで最新情報を入手することができます。
日頃から詐欺に遭わないように甘い言葉に注意してください。少しでもおかしいと感じたら金沢警察署に連絡してください。
※ 金沢警察署 生活安全課 045-782-0110
(1)県警公式アプリ 「かながわポリス」
県内における犯罪情報、交通 事故発生状況、特殊詐欺不審電 話、痴漢防止ブザー機能など、 様々な情報を発信しています。
https://www.police.pref.kanagawa.jp/about_kpp/koho/sns/app.html
(2)ピーガルくん安全メール
「県内における不審者情報、子供・女性に対する声掛け事案、 犯罪情報、特殊詐欺情報など、 タイムリーな情報を発信してい ます。
https://www.police.pref.kanagawa.jp/kurashi/kodomo_jyosei/mesd5010.html
(3)金沢警察署公式「X」
区内における最新の特殊詐欺の手口や被害防止対策、各種キャンペーン情報など、様々 な情報を発信しています。
https://x.com/kanazawa_police

ご清聴、ありがとうございました。
今日のお話は、ご家族や近所の人にも話して広めてください。
以上

