▶独居高齢者の孤立対策についての意見交換
関東学院大学の戸塚浩太郎さんを交えて意見交換会を実施しました。戸塚さんは、孤独死をテーマに独居高齢者の孤立対策について研究をされており、実際の現場の高齢者の状況について調査を行っています。最初に戸塚さんから研究の概要をご説明いただき、それから意見交換を実施しました。
■ 日時:12月1日(木)17時30分〜19時20分
■ 場所:大道町内会 集会所
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/map-2/
■ 出席者:大道町内会長:佐藤さん、民生委員:松本さん、吉野さん、保護司:廣瀬
■ 話題提供:関東学院大学 経済学部 野中ゼミナール 戸塚浩太郎さん
■ テーマ:一人住まいの高齢者の孤立対策について
■ 問題提起
① 独居高齢者の孤独死の問題
定年退職や配偶者との別れのように人とのつながりが途絶えてしまい、日頃から日常生活や健康を気遣いあえる人がいなくなることで、孤独死につながってしまう問題がある。
例)奥さんは町内の集まりに参加、一方旦那さんは仕事を理由に参加していなかった。
→奥さんと死別した時、奥さんに変わり積極的にはなかなか参加しづらいため、結果として孤立してしまう。
② 研究目的
これまでの日本では、血縁や地縁、 社緑のような繋がりがとても強い時代であった。 しかし、 現在では、自らの意思によって縁を断ち切る人が多く、コミュニティがどんどん希薄化している。 さらに、小子高齢化や世帯の核家族化によって、 住民が社会的に孤立しやすくなっている。 実際 2021年の国勢調査では65歳以上の単独世帯率は 19.0%と約5人に1人が単独世帯であった。こうしたコミュニティの希薄化や孤立は、 高齢住民の孤独死を引き起こしている。 そこで、地域活動に参加し、活躍できる仕組みづくりをすることによって、地域コミュニティとのつながりが希薄になっている人がコミュニティの一員になったと自覚することは可能かを検討する。
③ 対象
既に町内会に加入しているが、コミュニティに参加することの必要性を感じていないため、町内活動に参加していない人
④ 解決策案
・町内会による活動説明会を開催
町内会の役割や必要性、 特徴や活躍の仕方の説明し、実際に現場で活躍できるよう行政による研修を行い、 実際に現場に出て、地域で得た経験をあわせて成長できるような取組を行う
■ 意見交換
・地域コミュニティとのつながりが希薄になっている原因を調査しないと問題解決に結びつかない
・大道は戦後世帯数から20倍以上(32世帯から700世帯以上)に住民数が増えている。
・顔が覚えられないことも希薄化に関係している
・住民の出入りが激しく、プライバシーを重視した都市化、匿名化が進んでいる
・隣近所との付き合いがやりにくくなっている。
・SNSなどの普及で人と会わなくても困らない状況がある
・コンビニがあったりライフラインが整備されたりして一人でも日常の生活ができる
・家族が住民票を移していないケースがあり、行政も独居高齢者の世帯を正確に把握できていない
・民生委員が訪問して調べているが限界がある
・大道でも独居世帯が約1割存在していて年々増えている
・それぞれの独居高齢者にも考えがありコミュニティへの参加の強制は難しい
・独居高齢者の異変を察知するシステムの導入が望まれる
・地域コミュニティとの希薄化は高齢者に限ったものではない
・PTAなどの役員にも成り手が少なくなっている
・高齢になる前から地域コミュニティへの関わりを持つことが重要である
・インターンシップのような形で若いうちから町内会へ参加してもらうのはどうか
・戦前まで大道町内会に青年会という組織があり、若い人が率先して活動していた記録がある
・世代を超えたイベントを企画して、とにかく集会所に集まる機会を作ったらどうか
・高齢者は若者からネットの使い方を学ぶ、若者は地域の歴史を学ぶなど世代間の交流はお互いに刺激になる
・SNSとリアルなイベントのコラボも考えられる
・誰でも楽しめる集会所でDVDを使ったビデオシアターを開催するような企画は、すぐにでも具体化できる
・町内のクリーンアップイベント、大道の史跡をめぐるウォーキングイベントなどはどうか
・気軽に町内の活動に参加できるように日頃から門戸を開く
・やりがいを持って町内の活動に参加できるような動機づけが必要
・やりたくても機会がない人のために、活動に参加できるきっかけを作ることも重要
・イヤイヤやっても続かない。町内の活動をして楽しかった感、勉強になった感を醸成する
・個々の独居高齢者の考えと第三者の捉え方は違う。現実と理想には隔たりがあり、第三者にできることを模索すると、地縁に基づく人間関係の大切さに繋がっていく
・町内会でのイベント等に参加していただくのはもちろんだが、小学校の目標にも掲げている『挨拶』そして『声かけ』からの『繋がり』、日頃からの御近所付き合いや顔の見える関係が大切
・集会所だけでなく空き家を利用して手軽に活動できる場所を増やす