▶薬物事犯者の処遇について
2019年 3月24日
表記の研修を受けましたので感想をまとめました。(廣瀬隆夫)
金沢区の2019年3月12日時点の保護観察事案は48件(少年28件)、その中で薬物依存は8件。環境調整事案は、37件(少年4件)、薬物依存は8件。金沢区の保護司は30名で足りていない。
全国の受刑者数は、2008年3万人、2017年2万人と過去10年で、受刑者数は1万人も減っているが薬物依存は、6千人をキープしており、薬物事犯者の割合は、2008年の21パーセントから2017年は28パーセントと上昇している。刑務所出所者の5割は5年後に再入所している。薬物は、どこでも手に入る。ネット以外に売人はたくさんいる。横須賀のどぶ板通りなどには、売人が多い。
・1号観察:少年審判で保護処分とされた少年(保護観察処分少年)
・2号観察:少年院から仮退院された人(少年院仮退院者)
・3号観察:仮釈放された人(仮釈放者)
・4号観察:刑事裁判で保護観察付き執行猶予になった人(保護観察付執行猶予者)
■ 薬物を使用したくなる状況 HALT(ハルト)
・Hungry(腹が減っている)
・Happy(うまく行っている)
・Angry(怒っている)
・Lonely(孤独である)
・Tired(疲れている)
■ 薬物を使う理由
・仕事がきつい。徹夜仕事を乗り切りたい
・受験勉強で頭をすっきりさせたい
・風邪の症状を緩和させたい
・結局、依存症って、人に依存できない病気
■ 薬物依存者の特徴
・自己評価が低い
・人を信じられない
・本音が言えない(いつでも大丈夫という)
・不安が強い
・孤独で寂しい
・自分を大切にできない
・つらい状況を言葉にできない
・薬物使用な犯罪であるが、薬物依存は脳の病気なので病院で治療しないと、なかなか治らない。
・捕まった時に、捕まえてくれて、ありがとうという人が多い
・依存症は刑務所に入るだけでは治らない
・ポルトガルは、軽い薬物使用は非犯罪化
■ 薬物依存者との面接時の注意
・信頼関係を作る
・正直に話をしたことを評価する
・「使用したい」は本人の問題解決の当然の帰結、行ってくれたことに、信頼関係ができたと評価する
・できないことを責めるのでなく、できたことを褒める
・支援者である我々が本人の努力を見ていることを伝える
・本人の努力を評価する
■ 専門医師からのアドバイス
・薬物依存症は、逮捕される犯罪という印象だけでなく、医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるという事実を伝えること
・相談窓口を紹介し、警察や病院以外の「出口」が複数あることを伝えること
・友人・知人・家族がまず専門機関に相談することが重要である
・「犯罪からの更生」というのでなく、「病気からの回復」という文脈で取り扱う
・薬物依存症に詳しい専門家の意見を取り上げること
・依存症の危険性、回復という道を伝えるため、回復した当事者の発言を紹介する
・依存症の背景には、貧困や虐待など、社会的な問題が根深く関わっている
・「白い粉」や「注射器」といったイメージカットを用いないこと
・薬物への興味を煽る(あおる)結果になるような報道を行わないこと
・「人間やめますか」のように、依存症患者の人格を否定する表現は用いないこと
・薬物依存症であることが発覚したからと言って、その者の雇用を奪うような行為をメディアが率先して行わないこと
・逮捕された著名人が薬物依存に陥った理由を憶測し、転落や堕落の結果薬物を使用したという取り上げ方をしないこと
・「がっかりした」「反省してほしい」といった街録・関係者談話などを使わないこと
・ヘリを飛ばして車を追う、家族を追いまわす、回復途上にある当事者を隠し撮りするなどの過剰報道を行わないこと
・「薬物使用疑惑」をスクープとして取り扱わないこと
・家族の支えで回復するかのような、美談に仕立て上げないこと